【1/25(木)備忘録】
虫の目 〜かかりつけをあきらめない〜
1/22(月)本格的に外来・訪問診療・訪問看護事業再開。
外来。ありがたくもNHKさんで取り上げて頂いたモバイルカー診療は早々に方向性を変更。これだと医師の診察のみとなり、ごちゃまるらしさが発揮できない。ごちゃまるは全てのスタッフが癒し。お隣能登町から通う古株さん(私の勤務医時代からの仲)。受付事務とも大の仲良し。再会をともに喜ぶ。そして診察。まずはお互いの無事に感謝。血圧など持病の不調がないか確認。食事・睡眠・排泄も確認。被災生活は容易に生活の不調を来す。家族の安否を慎重に確認。大概の方は二次避難などで家族との離別を経験している。「母ちゃんが体調崩して、入院しとる。何もできんでね。申し訳ないな、と」「金沢の子供からコケ(きのこのこと)とりに誘われたんですよ。この雪だし、コケなんて全然とれんけど、まあ二人でゆっくり、喋りながらやね」喪失と癒しと再生のエピソード、ゆっくりと、真摯に、静かに、寄り添う。隣にはごちゃまる看護師。「あれ⁉︎はぎさん、戻ってきたの!?」笑いながら再会を、無事を喜ぶ。
訪問診療。二次避難推奨とはいえ、様々な理由で自宅療養を続ける人は存在する。公的支援が届きにくいところ、情報弱者化しないように配慮。いわゆるアウトリーチ。心身のこともそうであるが、必要な支援物資がないかも確認。訪問患者さんは基本重症化しやすい。平時以上に、様々な不慮の事態に配慮をはりめぐらす想像力が問われる。自分らしく生きる、アドバンス・ケア・プランニングも忘れてはいけない。有事でも焦らず、じっくりと。
訪問看護。おそらく現時点で一番の肝。医療だけでは患者さんはどんどん弱体化してしまう。身体の衛生、皮膚ケア・褥瘡の評価、栄養状態の確認、家族介護の疲弊など。介護を放置すると容易に疾病化が生じてしまう。生活を守る、医療を守るためにも看護・介護が必要。
診療圏内には避難所もある。現在避難所の外部支援チームは数日単位で異動が発生する。申し送りにも限界があり、ついつい点の支援に陥りがち。そこで避難所の要注意配慮者には当院の訪問診療・訪問看護が介入。外部支援チームと伴奏することで点を線につなげることができる。外部支援チームとの協働力が問われる。お互いをしり、尊重し、補い合う。
実はこれ、結局平時と同じことをしている。違いがあるとすれば、いつも以上に基礎力が問われること、そしてトラウマケアを忘れないこと。
「かかりつけをあきらめない」
被災地といえど何気ない日常は存在する。チームで、地域で、いつものように、ケの日を応援する。